マーケティング戦略策定の流れ

価値の認識(なぜ顧客は自社の製品を買うのか)

マーケティング活動で最初に行い、かつ重要なプロセスは、自社の商品やサービスの価値を認識することです。

「なぜ顧客は、自社の商品やサービスを必要とするのか。」「なぜ数ある選択肢の中から、自社の商品やサービスを選ぶのか、選んだ方が良いのか」といったような疑問に答えることが、自社の商品やサービスの価値の認識するということです。一般的に言うと、強みを考えることに近いかもしれません。

全て顧客にとって、あるいは全ての状況において、自社の商品やサービスが必ず最も良い選択肢であることは稀です。そのため、顧客の属性、状況、目的や課題などによって顧客を分類し、自社の商品やサービスが最も良い選択肢になる相手や状況を特定することが大切です。

その特定のために、3C分析や、セグメンテーションとターゲティングを行い、自社の商品やサービスが選ばれる顧客や状況を探っていきます。その顧客属性や状況を特定し、その中での自社の価値、他の選択肢ではなく自社の商品やサービスを選ぶ理由を認識することが大切です。

基本的には、3C分析、セグメンテーションとターゲティングを行なった後、自社の商品やサービスの価値が活かせるようなポジショニングの順に行います。

マーケティングミックス(4Pの策定)

ポジショニングが決まったら、マーケティングミックス(4P)を考え、マーケティングの理想像を考案していきます。

4Pとは、Product(商品・サービス)、Price(価格、支払い方法)、Place(流通経路)、Promtion(宣伝、販売促進)の頭文字を取ったフレームワークで、マーケティングを行う上では考えるべき重要な要素です。

もちろん、商品(やサービス)や価格については、既に決まっていてすぐに変更することが難しい場合もあると思います。しかし、オプションサービスを付け足したり、支払い方法や支払いサイクルを変えたりするなど、商品(やサービス)、価格の中でも、比較的変えやすいものもあります。そうしたことも含めて検討をしていくことが大切です。

また、ここまでの一連の流れを行う際には、ペルソナを設定したり、カスタマージャーニーを考えると、より効率的、効果的なポジショニングや4Pを考えられることがあります。

戦略(ストーリー)と戦術の考案

4Pの理想像が決まったら、その理想像に具体的に達成するための戦略(ストーリー)の考えていきます。ただし、この段階では、まだ理想像は仮決定と考えると良いでしょう。良い戦略(ストーリー)が浮かばなければ、理想の4Pは絵に描いた餅となってしまいます。そのため、現実的なストーリーを作れるように、場合によっては、価値の認識まで戻る必要もあります。

長期的な戦略(ストーリー)が決まったら、その戦略に合わせて、次は短期的な施策計画の立案・策定していきます。全体最適や順序を考え、戦術的な施策に落とし込むことが大切です。

戦術(施策)の実行、工夫、改善

各施策は、すぐに効果が出ないものもあります。あるいは、その道の専門家が行えば、ある程度の効果はすぐに出る場合もありますが、それでも実際の結果を見て、顧客の心理を想像し、改善していくことが大切です。特に、なぜ顧客が商品(やサービス)を買うのか、あるいは買わないのか、仮説を立てて検証していくことが大切です。ちょっとした工夫を積み重ねることで、成果が大きく変わることがあります。

施策の実施、工夫や改善をしていくと、戦略を立てた時に考えていた前提・想定が違っていると分かったり、顧客や競合などについて新しい情報を得たりすることがあります。そうした場合には、柔軟に戦略、戦術を常に変え行くことが必要です。

このように、価値の認識から始まり、理想像、戦略(ストーリー)、施策の実行、効果検証・改善と進むマーケティング活動のステップは、前のステップに頻繁に戻ることがあります。新しい情報を得られれば、考えが変わることは当然です。そのため、マーケティング活動は、常にステップを行きつ戻りつしながら、仮説を検証して、継続的に改善していくプロセスであると言えます。

マーケティング戦略策定の流れについてのまとめ

マーケティング戦略策定の流れは、下記の分析や施策を順番に行うことを基本にしながら、行ったり戻ったりしながら、繰り返して行っていくのが、マーケティング活動の基本的な進め方です。

価値の認識、3C分析、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニング、理想的な4Pの策定、ペルソナやカスタマージャーニーの想定、戦略(ストーリー)の策定、施策の立案と計画、施策の実行、効果測定、仮説検証、継続的な改善が基本的な流れです。

これらの活動を通じて得た新しい情報や洞察を元に、必要に応じて、適時どのステップにも柔軟に考え直し、ポジショニングや理想像、戦略や戦術を変えていくことが重要です。

監修者プロフィール

マーケティングコンサルタント:K.F

大学で経営学を学んだ後、IT関連のベンチャー企業に就職。以後、15年以上マーケティングに携わる。プロダクトオーナーなどを経験し、現在はマーケティングコンサルタントとして活動中。

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